問題行動ちゅう言葉ぁよう耳にするようになった昨今、“犬”ちゅう動物としての彼らより理解して対処しようちゅう風潮が高まっとりまっけど、そないな中、日本でもペット心理行動カウンセラーとして活躍しとる方がいま。お仕事の内容やカウンセリングについてなんぞ、お話お聞きしてみました。
犬の“気持ち”考えてカウンセリング
「ただ行動学のみで考えるさかいはのうて、そのコのムード(気持ち)向上させ、正常に保ったることが大切だす」
愛犬のしつけや行動に関して、何らかの問題が出てもた時、真っ先に、誰に相談しまっか? ある調査によったら、8割近くの人が獣医師に相談する、と答えたそうやす。確かに、行動学やトレーニング面にも力入れとる動物病院もおますさかい、遠からず、近からず……といったとこだっしゃろか。その他にも、名称はそれぞれにちゃうもんの、トレーナーはんやインストラクターはん、訓練士はんなんぞ、犬のしつけに関するプロもたくはんいま。
今回ご紹介するのは、「ペット心理行動カウンセラー」ちゅうお仕事なさっとる。ちょう聞き慣れない名称だすが、どないいったとこに特色もつカウンセリングやのだっしゃろか?
「わたいが取り入れとりますのは、日本では初導入となります、ピーター・ネヴィル博士ら考案によるEMRA(Emotional Mood Reinforcement Assessment)テクニックと呼ばれるもねん。これは、犬の行動学前面に押し出したもんちゅうさかいはのうて、まずは、犬の気持ちやムード、精神状態といった心理面考えるもんで、それプラス、行動学の視点からの行動治療行ない、問題改善していくちゅうもねん」
感情診断
う〜ん……わかるような、わからないような……。もう少し説明して頂きまひょ。
「例うたら、あいの生活の中で、犬としての欲求が満たされやんと、フラストレーションがたまった状態が続いていたとしま。そんだけでも、無駄吠えとか、何か破壊ほしたらいったような問題行動につながる可能性も大いにあるわけだすが、こうしたメンタル面のこた、そのコの性格や年齢、性別、生活環境、飼い主はんの接し方なんぞ、いろいろな要素が複雑に絡み合っとることがようけおます」
個々に合った散歩の回数や内容に満あんよしとるか、ふれあいはあんよりとるか、充分遊べとるか(犬としての適切な遊びができとるか)、欲求に見合うだけ物が齧れとるか(犬には結構これが大事な要素)……なんぞ、なんぼかの項目ぇチェックしてムード診断行うそうやす。
この診断の結果、犬にとって不満要素が多い生活状況になっとる思われるようやったら、それら改善し、犬の気持ち満あんよさせたる、つまり、ムード向上させてあげ、かつ、それ維持ほしたらころから行動治療プログラムが始まりま。犬の気持ちつくりなおす、とでも言ったらええのだっしゃろか。
次に、強化行動の診断
「何らかの問題行動が出とる場合、その行動強化するだけの犬にとっての利点、言い換えったら、報酬と言えるもんがあるはずだすさかい、何が強化因子になっとるんかい探っていきま。例うたら、飼い主はんに叱れること自体が強化因子になっとる場合もおますし、飼い主はんのお話ようお聞きしもって、それ思われるもん排除していくように努力して頂きます」
なるほど。トレーナーはんとも、今現在ある行動治療とも、その内容におけるスタンスが少々ちゃうようでんな。こういったカウンセリングちゅうのは、海外ではわりとあるもんやのだっしゃろか?
「ピーター・ネヴィル博士が20年前に始めた当初は、犬の精神科医?と笑われたこともあったそうやすが、イギリスにちょうては、現在、その地位確立しつつありまんな。アメリカでもこういったカウンセリングちゅうのはおまっけど、ようけは行動治療専門の獣医師はんが兼任なさっとることが多いようだす。それに対して、イギリスでは、行動学者だすとか、動物看護師はん、ほんでから人間の心理カウンセラーが活躍しとるのんが目立ちま。これはわたいの印象だすが、アメリカでは行動学といったサイエンスチックなもんが優先され、イギリスではメンタル面の方より優先して考えとる、といった感じがします」